- はじめに
- オタクについての概要
- 「オタク」の定義
オタクとは、「こだわりがある対象をもち」、「その対象に対して時間やお金を極端なほ ど集中的に消費しつつ」、「深い造詣と想像力をもち、かつ情報発信活動や創作活動など も行っている人々」である。一方で「社会一般からは価値を理解しがたいサブカルチャ ーに没頭し、コミュニケーション能力に劣る人」というネガティブな見解が示されるこ とも多い。しかし、定義や範囲など曖昧なところが多い。 - 「オタク」の語源
「オタク」という言 葉を初めて使い始めたのは『超時空要塞マクロス』を作ったスタッフだと言われている。 制作者間でお互いを「お宅」と呼び合っていることや、『マクロス』の登場人物にも「お 宅」と呼び合わせていることから、まず SF ファンの間で「オタク」という言葉は広ま ったとされている。 - 世代別のオタクの特徴
- オタク第一世代(1960 年代生まれ)
基本的に SF ファンで、劇画の登場によりマンガは大人も読む者として認められつつ あったが、「アニメは子供のもの」という風潮の中で育った
マンガやアニメは、学生運動を主 導した戦中生まれ世代や団塊世代の抱いていた社会変革思想の対抗物として意識され ていたため、彼らのオタク趣味全般に理論化・体系化への指向が強い場合が多い。コ ミックマーケットなど現在に至るイベントの基礎を築いた者もこの世代である - オタク第二世代(1970 年代生まれ)
少年期に「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」などアニメブームの洗礼を受け、 広くアニメなどが趣味の範疇に受け入れられた。これらの作品が SF を基底として、架空の技術体系を構築する手法をとったため、提供される側にはその架空の技術体系を 網羅したがる方向性もみられる
バブル世代と団塊ジュニアに相当し、1970 年代末期~1980 年代のテレビゲーム・パ ソコン趣味の担い手ともなった。ロボットアニメ最盛期に育った世代でもあり、プラ モデルなどこれらの作品に関連した製品が登場して一大市場を築き、その受け手とな った。なお、この世代の親(1940 年前後生まれ)は、「仮面ライダー」の石ノ森章太郎 や「機動戦士ガンダム」の富野由悠季など、特撮の大作家が多い世代である。 - オタク第三世代(1980 年代生まれ)
1990 年代後半に「新世紀エヴァンゲリオン」の洗礼を受け、セカイ系と言われるム ーブメントの担い手となった
1980 年代前半に生まれた世代は、高校までにインターネットが普及し始めた世代で あり、インターネットをテレビや雑誌などと同質の媒体として利用していることがう かがえる。
なお、第三世代以降の世代ではオタク趣味が一般的なものとなり、オタクコミュニテ ィの拡散化と嗜好の分裂化・多様化がかなり進んでいるため、個人個人を一つの世代 で括って考えることが難しくなっている。 - オタク第四世代(1990 年代生まれ)
インターネット利用が一般的な環境の中に育ち、従来の世代が遊び場や友達・仲間を 広場や公園に求めたのと同質の感覚で、コンピューターネットワーク上のネットコミ ュニティにも求めていった世代である - インターネットの普及によるオタクの顕在化
インターネットなどの電子的ネットワークが普及する以前は、オタクは地縁、人縁で のみ結びついて活動していた。そのため、オタク同士が同好の士を発見し結びつくため には、そもそも両者が互いにオタクであることを普段の生活の中で認識し、接近しなく てはならず、接触できるような場所やイベントが必要であった。
1980 年代後半になってパソコン通信が始まり、初めて地理や時間の制約を越えて、オ タク同士がコミュニケーションをとれるようになった。さらに 1990 年代後半からのイ ンターネットの普及や 2000 年代のブロードバンド環境、パソコンの一般家庭への普及 などによってコミュニケーションの場が急速に拡大した。 - インターネット普及に伴う環境の変化として
- 第一に、地理、人的ネットワークなど 物理的に制約を受けていたオタクが、パソコン通信、インターネットの普及によって、 容易に相互を発見し、コミュニケーションをとれるようになった
- 第二に、インターネットを利用することにより、ニッチな分野の情報でも簡単に収集 することができるようになり、ネット上のオタクコミュニティに容易にアクセスできる ようになった
- 第三に、ネット上でいわゆる「同好の士」を簡単に見つけ、コミュニケーションがで きるようになり、お互いに情報や意見をより簡単に交換できる環境ができてくると、今 まで情報収集を主にしていた人が、今度は情報発信を行うようになり、オタク全体の活 動が活発になった
- オタクの消費行動
- オタクの行動様式
- 高水準の消費
理想へ近づくためには「金に糸目をつけない」傾向がある。また、支出に関しては、その分野のオタクである限り何年でも消費を続けるため、一般的な消 費者と比べると、その分野に対する生涯総支出額が高い - 新たな価値の創造
オタクは商品やサービスへの消費だけでなく、自分のこだわりのある分野については、 自分なりの解釈や考えを積極的に表現する傾向がある。その範囲は、自分のこだわり のある対象についての解釈に始まり、それらの解釈の体系化(理論化)や、さらには 自分なりの補完や創造による創作活動にまで及ぶ - 積極的な情報発信
ネット上でコミュニティを形成するようになったオタクは、幅広く情報収集や情報交 換を行っている。その結果、オタクのコミュニティでは、数々の情報や評価などが、 集積、更新されるようになる。そして、このオタクによって生み出される情報が、口 コミ情報として非オタクへ伝播し、市場全体に影響を与えるという流れも出てきてい る。 - オタク的行動原理
以下では、野村総合研究所が 2004 年 8 月に実施した「趣味やこだわりに関する生活 者調査」の分析の一部を用いる - 消費性オタク
消費市場において「極端な消費行動を行う層」が存在する。一般に、十分なサンプル のもとでの、ある分野に対する消費支出あるいは消費時間の分布は、およそ平均値付 近に集中する。しかし、「自分が強くこだわりを持っている分野に対する消費支出や消 費時間」の分布は、平均値付近に集中する層のほかに、さらに上位にもうひとつ第二 の層が形成される傾向にある。
この「無条件に消費をしてしまい、ブレーキが効かなくなる状態の消費」を「オタク 的消費」とし、その性向が強い層を「消費性オタク」とする。
オタク的消費では、理想像を追い求める情熱が原動力となり消費行動がとられるため、 多くの場合、消費に対する価格弾性が極小となり、趣味に対して支出可能な金額のほ とんどをつぎこむという極端な行動に走ってしまいがちになる。また、コレクション を増やす、ハイスコアを更新するなどの、消費、創造活動を繰り返し、徐々に理想像 に近づくにつれ、理想像への情熱はさらに高まる。 - 心理性オタク
オタク的消費においては、「創造性」、「情熱」が消費行動を加速させる構造が明らか となった。そこで、このオタク的消費のスパイラルモデルをもとに、オタクのこだわ りに対する基本的な考え方や行動を分析し、「創造性」、「情熱」、「消費」に対応するオ タクに特徴的な6つの心理および行動要素、いわば「オタク因子」を抽出した - 収集欲求
こだわりがある対象に関する情報や商品やグッズは、すべてそろえないと気がすま ない、そろえることにより優越感を感じるという心理である。 - 共感欲求
自分のこだわりの対象に関して、そのよさを他の人にも知ってもらいたい、趣味の 仲間を増やしたいという心理である - 自律欲求
こだわりのある趣味に対し自分なりの評価の基準や解釈を持っており、他人にどう 思われようと自分の考えに基づいて物事を判断したいとする心理である - 帰属欲求
価値を共有できる集団を形成し、その集団へ帰属することを強く求める心理である - 顕示欲求
自分なりに集めた情報や作品の解釈・批評を、インターネットなどを用いて発信し たいという心理である - 創作欲求
こだわりのある分野に関連し、自己流の解釈に基づいたカバー作品を創作したり、 まったくオリジナルの作品を創作したり、自己流の改造を加えるなどの創造・創作活 動を行うことへの欲求心理である - オタク発生の割合
「趣味やこだわりに関する生活者調査」の分析の結果から、消費性オタクの出現率を 生活者全体の約 11%、心理性オタクでは全体の約 36%であると推定した。また、消費 性オタクであり、かつ心理性オタクである層、すなわち中毒的で極端な消費行動を示 し、かつ心理的にもオタク的な特徴を有する生活者を「オタク」と定義づけた。この 「オタク」の出現率はおよそ 3.6%、つまり 28 人に 1 人の割合でオタクが存在するこ とになる。 - オタクの支出に関する分析
ここでは、いわゆるオタク関連商品に対する支払い行動を見ていく。対象となる商品群 は、アニメ(DVD/CD/グッズ類)、コミック・ライトノベル、ゲーム、フィギュア、同 人誌・同人作品、コスチュームである。
そこで、日本のオタク関連商品のユーザー1510 人に対してアンケート調査を行い、その 支払い行動について定量的に分析をするという試みを紹介する - 支出額に関する記述統計
- クリエイター気質の測定
- 支出額の決定要因
重回帰分析とは、説明変数(x)と被説明変数(y)との関係を一次式にあてはめ、x の 係数を推定する手法である
ここでは、被説明変数(y)として、月支出額と月支出額/小遣いの 2 つの指標を用い る。 - オタクコンテンツ市場の動向
野村総合研究所「「オタク層」の市場規模推計と実態に関する調査」(2004 年 8 月 24 日) → 総額 2900 億円(範囲:アニメ、アイドル、コミック、ゲーム、組立 PC)
浜銀総合研究所「萌え市場は 888 億円」(2005 年 4 月 1 日) → 総額 888 億円(範囲:コミック、映像、ゲーム)
メディアクリエイト『2008 オタク産業白書』(2007 年 12 月 28 日) →総額 1866.8 億円(範囲:DVD/CD、出版コンテンツ、ゲーム、グッズ類、同人) - オタクコンテンツの 2007 年国内市場規模
2007 年におけるオタク関連コンテンツ(DVD/CD、出版コンテンツ、ゲーム、グッズ類、同人)の市場規模は 1,866.8 億円である。2006 年の市場規模は 1,821.7 億円とな り、2007 年は対前年比で 2.5%増であった。 - DVD/CD パッケージソフト市場
- 定義
オタクコンテンツのパッケージソフトとして、アニメ DVD、アニメ・声優・ゲーム CD を取り上げる
オタク系の専門店で売られている DVD・CD をオタク商品、それらが形成する市場をオタク市場としている - パッケージソフト市場規模
2007年のオタクコンテンツ市場におけるDVD・CDの 市場規模は340.2億円である。 うち DVD 市場が 163.0 億円、CD 市場が 177.2 億円である。これはセルのみの集計で あり、レンタルなどを含めた数値ではない。
2006 年の市場規模は、全体では 333.5 億円で、うち DVD 市場が 168.2 億円、CD 市 場が 165.3 億円となっている。DVD 市場がやや減少したものの、市場全体と CD 市場 では売上を伸ばしている。 - 出版コンテンツ市場
- 定義
ここでは、オタク産業の市場規模をオタク向け専門店の売り上げベースで算出してい る。 - 専門店における市場規模
専門店の売り上げベースでの市場規模は、2007 年は 406.7 億円、2006 年は 413.3 億 円となった。 雑誌やコミックスが停滞する一方でライトノベルは、2007 年では対前年比 104%と 伸びを見せ、この傾向はここ数年続いている。ライトノベルは専門店との親和性が高 いが、コミックスは一般店でも購入しやすいため、一般市場と比較して占有率が低く なっている - ゲーム市場
- 定義
- コンシューマーの美少女ゲーム、乙女ゲーム、ボーイズラブゲーム
- 上記以外のコンシューマーで、オタク層の購入が考えられるタイトル
- PC アダルトゲーム(一部非アダルトも含む)
- 市場規模
2006 年の市場規模は 559.6 億円である。2006 年から 2007 年へは 100.2%と 横ばいに推移している。内訳は、コンシューマー美少女:61.8 億円、乙女:27.9 億円、 BL:3.2 億円、その他:209.9 億円、PC:257.2 億円となっている。
2007 年 1~8 月で 380.9 億円、12 月までの年間予測では、推定 560.8 億円である。コンシューマーは 300.6 億円、PC 向 けが 260.2 億円であった。コンシューマーと PC でほぼ二分する形となっている。コン シューマーの内訳を見てみると、美少女ゲームが 88.3 億円、乙女ゲームが 20.8 億円、 ボーイズラブゲームが1.5億円、その他のコンシューマータイトルが190.0億円となる。 - フィギュア/キャラクターグッズ市場
- 定義
- フィギュア
完成品フィギュア、トレーディングフィギュア、ガレージキット、プラモデル、プ ライズなど。
ここからプライズを除いたものが今回の集計の対象となる。 - キャラクターグッズ
雑貨や文具、アパレルなど、一般のキャラクターマーチャンダイズと同じもの。ま た、コスプレ関連商品もキャラクターグッズとみなしたため、コスプレ衣料もここに 集計されている - 市場規模
2007 年 1~8 月までの各ヒアリング先リテーラーの売り上げから 12 月までを見込ん で推定したところ、2007 年の市場規模は 281.8 億円であった。うちフィギュア市場が 162.3 億円、キャラクターグッズ市場が 119.5 億円だった。
2006 年と比べると、市場 全体では 277.9 億円とほぼ横ばいである。フィギュア市場は 156.1 億円で拡大、キャ ラクターグッズ市場は 121.8 億円で減尐傾向にある。 - 同人誌市場
- 同人誌市場の範囲と定義
現在、“同人誌”とはオリジナル(一次創作)作品のほか、既存のコミック、アニメゲーム等を題材とした二次創作作品の自費出版物を指す。出版社→取次→書店という 流通にのるものではないため、一般の書店や小売店では購買できない - 同人誌市場の規模と推移
2007 年の市場規模は 277.3 億円である。うち即売会が 103.7 億円、DL 販売が 39 億 円、書店委託が 134.6 億円となっている。2006 年の同人誌市場全体の規模は 237.7 億 円である。内訳は、即売会が 90 億円、DL 販売が 33.8 億円、書店委託が 113.9 億円と なる。即売会よりも書店委託が大きいことが特徴である。 どの経路においても、前年比 115~118%と高い成長率であり、市場は拡大している - 結論
- 創作活動をするユーザーは、そうでないユーザーと比べてより多く消費すると想 定されたが、統計的なサポートを得ることはできなかった。重回帰分析において創作活動 経験の標準化係数が 0.000(有意確率 0.994)であることから、月支出額に全く影響を与 えていないことが確認された。もちろん、単純集計レベルでは、創作活動をしている人の 支出額は多い傾向にあるが、それは平均年齢と小遣いの高さに大きく影響された結果であ り、創作活動自体がもつ効果ではないと結論づけられる
- 市場は全体的に堅調に業績を伸ばしてきている。しかし、オタクユーザー一人あたりの消費にも限界がある。オタク人数が急激に増加するということもない。限られたタ ーゲットを各商品カテゴリーで取り合う状態になりがちである。そのため、オタク商品で あったとしても、一般ユーザーやライトオタクといった層に対して販売を促進していくこ とが今後の課題となる。
覺得這篇文章想要討論什麼?
對2007或2008年左右的御宅消費做一問卷調查與分析
我覺得這篇文章有哪些重點?或是我的心得?
文章中有一個地方的平均值(表八)KEY錯了,應是0.022,而不是0.22,不知道是不是因為這樣P-VALUE才會有誤。
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